交通事故の再調査を実施した結果です、についての補足

2012年07月08日 · 未分類

昨日「交通事故の再調査を実施した結果です」というブログを更新したところ、北海道と静岡の方から、「実況見分調書や捜査報告書というものは目的があり、単に書いてある内容を書いてあるままに理解し読み取ってはいけない」という内容についてもっと詳しく教えてくれないかという問い合わせがありました。それぞれ具体的に説明し結論は、なるほど、とご理解してもらいました。ここでもちょっとした具体例を示したいと思います。
例えば供述調書で、「事故の時はどこへ行く途中だったんですか?」という質問に対して「会社に出勤途中でした」という運転手の答えが記載されていたとしましょう。少なくても会社の所在地と走行中の道路が著しくずれていなければ問題はないからです。いわゆる事故が発生した時の通行目的です。相手方は事故を独自に調査したところ、事故が起きた日は会社が休みだった、という事実を突き止めました。すると大抵の場合は、相手の運転手は嘘の供述をしている、会社は休みだったのに、出勤途中に起きた事故だったと、全く矛盾する嘘の供述をしているのは明白だ、お巡りさん、もっとよく捜査してくれ、と訴えると思います。
さて、通行目的を記載する理由は単に、会社に出勤途中だった、スーパーい買い物に行く途中だった、子供を塾へ送迎している途中だった、というような行先を特定しようとしているのではありません。交通事故では意味の無い質問はしません。通行目的を聞く理由は、その道路の環境を運転手はよく知っている道路だったのか、あるいは観光などで初めて通る道路だったのか、などを事前に明らかにしておく必要があるからです。通勤通学、買い物など日常の生活道路での事故であれば当然、道路が細くなっていることや見通しが悪い道路、角を曲がればすぐ信号機があることなど、予め知識として分かっているのであれば、その知識に応じた運転をしなければならない注意義務があるし、また観光や遠方の知人宅への初訪問など、通いなれない道路や初めて走る道路であれば道路環境も速度制限もよくわからず、それなりにの意義務があり、両者の過失の組み立て方に違いが出て来るのです。これこそが最も重要な部分です。
供述内容に事実と違うことが記載されているのは当然よくないことですが、交通事故の真相を究明しようとする時、聴取した目的に変化がないのであれば、供述内容の事実と異なる部分を詳細丁寧に追及して上申書や報告書を作成しても交通事故事件処理には影響を及ぼさないのです。的外れの論争なのです。
人は皆、場面に応じた嘘をついてしまいます。嘘を看破する必要がある捜査では絶対に嘘をつかせないように下調べをします。あるいは目的地が問題となっている捜査では会社が休みだったという点の不合理さを追及します。しかし、例えば不倫先のアパートに向かう途中の事故だった、と正直に言うに言えなく出勤途中だったとついた嘘でも、その人にとっての日常生活道路での事故であり周辺の交通環境を知っていたことがわかれば、それでよしとしているのが一般交通事故の通行目的なのかもしれません。もし飲酒運転だったなら、当然飲酒先を聴取します。その時は不倫先のアパートだとか、居酒屋だとか飲酒先を明らかにしてから通行目的の聴取という必要性がでてくるのです。
単に書いてある内容を書いてあるままに理解し読み取ってはいけない、という例です。「でも・・・」となりますよね。その時はご相談ください。

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