交通事故鑑定について

2012年09月22日 · 未分類

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私が常に考えている交通事故鑑定というものは、しっかりとした交通事故調査を実施することだと考えております。その中では数値定量化して示される工学鑑定結果も事故の再現を考える一つの要素であると考えています。必要なことは工学鑑定に用いる係数やデータをいかに採用するかということだと考えています。数値のトリックといわれるもので、わずかに係数を0.1変更しただけで全く別の結果となる交通事故を再現するものなのです。だから私は現職の警察官当時からよく物を見るようにしていたし、また物をよく見て整合性を考えろと指導してくれた先輩、上司にのみ敬い、交通事故事件、取締り事件などを学んできました。それほど犯罪に関わった物には有力な情報が保存されていることが多いのです。
写真はもう何年も前の交通事故にあった車両ですが、先日私が千葉県へ行った際に、わざわざ岐阜県からトラックに事故車を積んで私に見せにきてくれたのです。この車の痕跡がどうして採用されなかったのかなど怒りを覚えましたが、深夜午前1時になろうとしている今、私がここでこの話題を取り上げる理由は他にあるからです。
昨夜、私のところへ交通事故鑑定そのものに対する相談が寄せられました。内容を簡記すると「依頼した鑑定人が修復が完了している事故車の写真を撮影していたけど何がわかるんですか?」といったものです。一概には言えませんが、少なくとも私が現職時代からの捜査経験や交通事故の鑑定をするようになってからは修復済みの車を写真撮影したことはありません。その必要に迫られたことがなかっただけで、もしかしらた将来は必要になるかもしれませんが、私には興味関心のない写真と車両です。
私が常に必要なのは、年数が経過していようとも写真のように事故当時の損傷状態を保っている車の観察なのです。経年劣化で消滅した痕跡が存在していたにせよ、やはり事故を物語る証拠が蓄積されていることは間違いありません。
事件事故に関与した物にゴミは無い、私の信念です。

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