駐車場内で発生した交通事故調査

2012年07月19日 · 未分類

交通事故調査、鑑定を実施する私の立場として相談や依頼を受けた内容が交通事故と呼べるか考える時があります。人と車、車と車、自転車と人などは交通事故ですが、では歩道上で人と人がぶつかって転倒して怪我をした場合、交通事故でしょうか?こういった時の基準となるのが道路交通法72条第1項で、交通事故とは「車両等の交通による人の死傷又は物の損壊」と定義されているので、人と人は車両等に入りませんので交通事故とは呼べないと結論づけられるのです。それでは車両等の交通であれば発生場所は問わないのでしょうか?交通事故の定義が書かれている道路交通法は、あくまでも道路(一般公道)を対象としているため、駐車場内の事故はどのようになるのでしょう。道路には道路法上の道路などもあり想定から省きますが、今回はコンビニや銀行、ファミレスなどちょこちょこ事故が発生している駐車場です。
交通事故には今説明した道路交通法上の交通事故のほか、自動車損害賠償保障法上の交通事故、自動車安全運転センター法上の交通事故という3つの形態があります。駐車場の場合はそこが道路性を帯びてるかにもよりますが、例示したような駐車場の場合は、道路交通法上の交通事故では処理ができません。物損事故の場合は自動車安全運転センター法上の交通事故で交通事故証明書は発行されます。人身事故(人の死傷)であった場合は、刑法211条第2項の自動車運転過失致死傷罪での処理し、自動車損害賠償保障法上で自賠責保険を請求することもできるし、また自動車安全センター法上で交通事故証明書も発行されます。
一時不停止や信号無視、飲酒運転、無免許運転など交通事故に直接危険を与えている法令は道路交通法に記載されているのですが、道路交通法の中には交通事故を処理する法律がありません。自動車運転過失致死傷罪、危険運転致死傷罪、業務上過失致死傷罪は刑法で定められている犯罪なのです。
駐車場内の交通事故も交通事故に間違いなく事故調査を実施します。(民間調査会社ですので駐車場オーナーに出切りを制限されたら調査はできませんが、これまでに出入りを制限した駐車場オーナーはおりません)

ところがです、ご時世的にはこちらの方が感心があることだと思います。
駐車場内の交通事故で、自動車の運転手が無免許、飲酒、無車検、無保険だったとしたら、処罰できない可能性の方が大です。
処罰できないと言った方が適切かもしれません。
行政処分もないと思います。実際に私も神社境内や広い農家の庭で起きた人身事故を担当したことがありましたが、いずれも行政処分はありませんでした。
道路交通法と公職選挙法はざる法の典型と言われてますが、一理ありだと思います。

タグ :