交通事故の背後責任とは?

2012年06月05日 · 未分類

無免許運転で重大な交通事故の結果が発生すると、徹底した捜査(調査)により背後責任を追及する、という言葉がコメントとしてでてきます。さて、ここで背後責任とは何を意味するのでしょうか?簡単に解釈すれば、一般的に無免許の者がどのような経過を辿って車を運転し交通事故に至ったのか、ということを明らかにすることだと思います。飲酒運転の背後責任という場合もほぼ同義に受け取って間違いないと思います。また、交通事故という結果の発生が生じなかった場合にも、単純無免許運転や飲酒運転の背後責任を追及することもあります。通常一般的に考えられている無免許運転の背後責任というと、誰が車を無免許の者に貸し与えたのか?という点に関心が集中しがちです。ところが一般に知れ渡っている以上に、背後責任の追及は奥が深いものなのです。
具体的には①車両貸与、②運転指示、③運転依頼、④運転指導、⑤運転交替、⑥見張りなどの態様があります。それぞれの態様は読んで字のごとくですが、当然、犯行が既遂となる日時場所の特定は異なり、犯行を裏付ける実況見分や聞き取りなど着眼点が大きく異なってきます。また、背後責任を追及する上で、さらに難しくするのが、このような態様には、全て幇助犯であるのか教唆犯であるのかを擬律しなければなりません。いずれの場合も、無免許運転の者が、もともと無免許運転をしようとしていたのか、無免許運転をする意思のなかった者に犯意を起こさせたかを慎重に判断しなければならず、これらは当事者しか知らないことを供述のみに頼って擬律判断をしなければならず、極めて困難な作業となることがわかると思います。無免許運転の実行者が、もともと無免許運転をしようと考えていたのか、あるいは無免許運転する意思なんてなかったのに教唆されて無免許運転の犯意が初めて生じたなどは、完全に内面的な心情によるもので物的な証拠はありません。まして先輩後輩の上下関係に敏感で精神的に未熟な少年などではよほど慎重に捜査を遂行しなければ事案の真相究明、すなわち背後責任で真に責任を負うべき者の所在が誤ってしまう危険があるのです。いかなる交通事故鑑定でも解析できる分野ではなく、無免許運転や飲酒運転が交通事故の当事者となっている方がこのブログをお読みになる機会があるのなら、参考になされてください。不自然さは捜査書類の中に求めなければなりません。

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