交通事故調査の基本

2012年05月24日 · 未分類

交通事故調査の基本はなんといっても現場や車、人などの痕跡を緻密に観察することである。肉眼で観察して見えるものは警察官であれ民間地域住民であれ同じものが見えるはずです。痕跡が残っているのなら警察官が見ても痕跡の存在はあり、という結果になるし、民間地域住民が見ても同じように痕跡の存在は確認でるはずです。警察官にしか見えない、という痕跡はないし、民間地域住民にしか見えない、という痕跡もありません。痕跡というものは共通の証拠だからです。交通事故調査をする上ではこの基本を絶対に忘れてはいけないと思っています。
ある交通事故が発生した時、警察官は110番通報などによって交通事故を認知し、既に発生している事故現場に臨場して事故捜査を開始します。これを警察官は「先着」とか「第一臨場」と言って真っ先に事故現場に到着したようなイメージを多くの人に抱かせてしまいます。しかし、警察官が第一臨場する以前から、事故直後の状態やあるいは事故発生そのものを見ている民間地域住民が存在していることを忘れてはいけないと思います。ところが、法廷闘争の場になると、民間地域住民が説明した痕跡や物の存在は、警察官が追認して捜査報告書や実況見分などの司法書類で存在したことを明らかにしないと、痕跡や物は存在しなかった、という結論に達してしまうのです。よく聞き込み捜査という捜査方法を耳にすることがあると思います。犯罪事件現場周辺で捜査員が事件に関係するような事象について地域住民などから話を聞くものですが、聞き取りした内容が、捜査報告書や参考人供述調書という司法書類にまとめあげられ、はじめて地域住民が体験したことが捜査の土俵に上がってくるのです。目撃者などの事件協力者がいかにマスコミやネット、ブログで事実体験したことを掲載しても、司法書類に反映されなければ目撃者が体験した重要な目撃体験は存在しなかったと同様になってしまうのです。このような性格の司法書類(公文書)は客観的内容を記載すべきで、捜査員の主観は排除されるべき義務のある文書だと思います。さもなくば、本当に事件現場に存在した物が、捜査員の主観によって存在しなくなるのですから。
捜査機関による虚偽捜査報告書の作成や証拠編の捏造が全国各地で頻繁に発覚している現在では、なおさら捜査機関の書類を重要視する真相究明方法から、物や痕跡を重要視する真相究明方法へ移行すべきではないかと思っております。

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