多発傾向が続く高齢者の重大交通事故

2015年11月05日 · 未分類

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10月28日、宮崎駅前で73歳男性が運転する軽自動車が歩道を約700m暴走し、女性二人が死亡、男女4名が重軽傷を負った高齢者による交通事故の記憶もまだ冷めやまぬうちに、10月31日、今度は愛知県で76歳男性が運転する乗用車が和菓子店に突っ込む事故が発生した。

この事故で和菓子店内にいた男性3人、女性4人が重軽傷を負った。

当社佐々木がテレビ朝日ワイドスクランブルで高齢者の事故の特徴について解説した。

76歳の男性は店舗前に駐車していた車に乗車して発信する際に、ブレーキとアクセルを踏み間違えたと話している。
ブレーキとアクセルの踏み間違え事故はよく聞く事故の形態である。

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私の会社でも何件か取扱っている事故形態である。
しかし、幸いいずれも軽微な物損事故で済んでいる。

それは仮にブレーキを踏むべきところを誤ってアクセルペダルを踏んだ場合でも、ほとんどの方は車が動き出した直後に
異常に気付き、すぐに間違いを修正して適正にブレーキを踏みなおすことができているからである。

すぐに運転操作の間違いに気づき修正する能力が高齢者になるほど衰えるため、
間違ってアクセルを踏んでしまうと、どんどん車は加速する。すると高齢者はなおさら瞬時の対応ができずに大事故を起こしてしまう。

車の操作とは、認知、判断、操作の繰り返しである。
しかもそれを刻一刻と変化する交通環境の中で、高速度で移動中に行わなければならない。

ところが認知、判断、操作という複数のことを瞬時に、一度に行う作業というのもは、高齢者は大変苦手としている。
高齢者に限らず、人は複数のことを一度に行うと間違いを犯しやすくなる。高齢者はなおさらである。

超高齢化社会を迎える日本がかかえる交通問題である。

認知症患者。
彼らは「今現在の世界」を正常に生きている。
30分前、1時間前の「過去の世界」という概念がない。彼らには近い時間の過去は存在しないのである。

もしかすると事故を起こして30分も経過して警察による事故捜査が始まるころには、すでに自分が起こした事故のことをも
消失しているかもしれない。

現状制度のまま推移すれば、そういった出来事が必ず発生することが予想される。
彼らにどんなに厳しい刑罰を与えたとしても、何の効果もない。

苦しむのは被害者とその家族や近親者、加害者とその家族や近親者などで
事故を起こした当の本人は、いたって平和な時間を過ごすのである。

超高齢化社会を迎えるにあたり、喫緊の課題として取り組まなければいけない交通社会問題である。

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