交通事故防止が目的じゃないの?

2012年04月10日 · 未分類

警察が交通取り締まりをする根拠はどこにあるかご存じですか?それは警察法第2条「警察の責務」というところに「交通の取締り」という言葉が明記されています。これこそが根拠です。この警察法第2条「警察の責務」は交通の取締りの他に警察がすべき活動が列挙されています。そして第2項では、「警察の活動は厳格に前項の責務の範囲に限られるべきもの」とされております。
さて、交通取り締まりの目的は当然、交通の安全と円滑を確保して交通事故防止を図ることだと思います。各警察官個人が、あるいは警察署交通課単位の検挙実績目標を達成するためではありません。もちろん一時停止標識や指定速度、通行禁止などの規制標識は絶対必要なものですから、規制標識がある以上はそれを守らせるのも警察の立派な責務だと思います。しかしこれほどまでに標識の数と車の台数が増えると、取締りでは違反を激減させることは不可能です。標識を守らせたい、と願うならば運転手の良心に訴える教育が必要で、それは幼児期から始めなければならないと思います。交通安全施設の予算配分の詳細はわかりませんが、交通教育に大きな力を注いでほしいと思います。私は白バイ乗務など交通指導取締り出身の交通事故担当でしたが、一時停止標識や40キロの指定速度標識を取締りの目的に利用しては警察の信頼は絶対に得られないと実感しております。違反車両を待ち構えての取締りは教育的効果がなく事故防止に有効だとは思えませんでした。
居酒屋から出て来る客が駐車場から運転していくのを見張って、道路を走行させてから、追いかけて飲酒運転として取り締まる、というやり方も、警察という取締機関がやるべき姿ではないと感じています。一方では取り締まるために飲酒運転するのを容認して運転させ、道路交通法上の飲酒運転違反を既遂にして、一方ではその違反を取り締まるというやり方が横行しているという話を最近居酒屋経営者の友人から聞きました。飲酒運転をする違反者には言い訳はありませんし、最も許しがたい運転行為ですが、交通事故防止という概念がその警察官に僅かでもあるのなら、居酒屋から出てきた客が車に乗る前に、「お酒飲んでるでしょ、運転しちゃだめだよ」とこれから犯罪を犯そうとしている者に対して犯罪を未然に防止するための手段を講ずるべきだと思います。検挙件数とか検挙実績などということにとらわれて、警察活動の意義を数字に求める結果の弊害だと思います。
今朝の新聞では元宮城県警泉警察署長が飲酒運転で逮捕されたと報じていました。この方は刑事総務課長や暴力団対策課長など県警本部の要職を務めた方でしたが残念です。もっとも彼の場合は、車の中で寝ているという一般人の通報によって駆けつけた警察官が声をかけようとしたところ逃走したのですから逮捕されて当然です。

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